ずん、と重たい灰色の空と、ぬるま湯でそこら中に霧吹きしたような大気は
さながらウィリアム・ターナーの風景画のようであります。
ここ1ヶ月、膨れ上がった腹の肉を絞り取るべく減量を続けて、
わずかばかり見た目も体重も軽やかになったと思うのですが、
こう重苦しい日が続いては自然と動きが鈍くなり、
なかなか思い通り制作も進みません。
ええ、天気のせいなんです。
早くクロード・モネの「日傘をさす女」のような、
真っ青な空にふぅわりと白い雲が浮かぶ
夏らしい天気になって欲しいものです。
この季節、静物画を描く絵描きにとって憎い天敵がいます。
死番虫、というのをご存知でしょうか。
(虫が苦手な方はそっとページを閉じてくださいね)
何とも禍々しい名前の虫ですが、外見は胡麻粒程度の小さな甲虫で、
カナブンのような丸っこい体つきで、愛らしいと言えなくもありません。
だが、しかし!
彼らは植物性の乾燥物なら好き嫌いなく何でも食い荒らすモンスターなのです。
お家のそこかしこでゆっくりと宙を横切る茶色いアイツを見たら要注意。
もし、あなたの台所に去年の夏食べきれなかったそうめんの束があれば、
恐る恐る袋を開けてご覧なさい…そこにはサブイボ必至のおぞましい光景が!
(冷蔵庫に保存しておけば大丈夫ですよ)
我が家にそうめんは無いので安心ですが、クルミやホオズキ、世界の珍しい木の実、
乾燥させたカボチャ、そんな大切なモチーフの数々に1mmほどの小さな穴が…
放置しておくと、どんどん増えて最終的には畳もやられるそうなので、
泣く泣くすべて廃棄しました。
さて、そんな死番虫との死闘を乗り越えて
いよいよ今週の水曜日から松坂屋静岡店では初の個展を開催いたします。
お近くにお住まいの皆様、梅雨の終わりの展覧会ぜひご高覧ください。
義和
Comments